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第15回全国海外登山集会
(以下は、「登山時報」1月号に掲載した報告) これまでにない多彩な報告 福岡で開催  11月15日から2日間にわたり福岡県クローバープラザ(春日市)にて開催された今集会には、スタッフも合わせると 70人を超える参加者数で、九州初の集会を和気あいあいとした雰囲気で盛り上げた。  開会の挨拶の後、基調報告に立った香取純全国連盟海外委員長は、戦争やSARS禍、経済不況などで海外遠征隊の 数は減少しているのに、遭難事故は減っていないと指摘。より慎重な行動をと訴えた。また、海外登山活動の低迷を脱 するため、海外委員会の立て直し、高所登山だけでなく幅広い海外登山に目を向けていくなどの課題に取組みたいと語 った。  その後、6人が登山隊報告をおこなったが、今回の特色は何といっても「高所」「ヒマラヤ」と言った定番にとらわ れない活動の幅の広さ、しかも労山外からの報告の存在であろう。  まずトップは、庵・鹿川=全国同人の蜂谷一彦氏が、カナダ・バガブー山群でのクライミングをスライド写真を交え つつ報告した。クレセントタワーズ、バガブースパイアー北東稜、スノーパッチスパイアー、ハウザースパイアー等の 岩と雪の世界の美しくも豪快な魅力を存分に伝えていた。  続いて8月のネパール行きを恒例とする東京都連盟の石原裕一郎氏が、エベレスト登頂50周年記念としてネパール山 岳協会との合同隊で登頂したデュウジェ・リ(5178m)について報告した。両国合わせて25人の全員登頂を果たし たほか、往路はエヴェレスト街道のゴミ拾い、復路は住民にひまわりの種を配布という「クリーントレッキング」を心 掛けたという。  チョー・オユー登頂を果たした大阪カランクルン登山隊(林孝治隊長)は、その高所順応のためチベットのジャンス ンラモ(6325m)もめざしたが、こちらはクレバスと視界不良に悩まされ、山頂まであと200mというところで 断念している。  ガッシャブルム1峰・2峰をめざした全国連盟隊(近藤和美隊長)は前半の2峰では順調に登頂を果たしたが、1峰 に取り掛かってからは悪天候続きとなり、C2までで断念している。近藤隊長によれば、G2峰はやさしい山のように 言われがちだが、決してそんなことはなく、チョー・オユーやシシャパンマなどとは格が違うとのことである。  この後、福岡県岳連の成末洋介氏が、改良バイクを駆ってアラスカ・マッキンレーから南米アコンカグアに至るまで、 南北米大陸の山々を巡った体験を紹介。同氏は、その後も欧州からトルコへと名峰を巡り続けた猛者であるらしい。続 いて同岳連の副島勝人氏がカムチャッカ半島、グリーンランド行の報告。お二人ともそれぞれに聴衆の関心を集めてい た。  例年は初日に行なわれる記念講演だが、今回は『アラスカ垂直と水平の旅』の著者・栗秋正寿氏が2日目の午前に行 なった。通常、垂直はマッキンリー山行を指すが、今回は特別にフォレイカー峰の山行を中心に、雄大なスライド映写 を交えて解説された。氏の謙虚で誠実な語り口は大いに参加者の心を掴んだが、とりわけオーロラを写したスライドを 見ながらのハーモニカ演奏には、時間の経つのを忘れさせられる思いであった。                                        (登山時報編集部・堀内一昭)