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大日岳遭難訴訟
10万人の署名を文部科学省へ大日岳遭難事故訴訟
2000年の事故発生日と同じ3月5日に、2人の学生の遺族と「大日岳遭難事故の真実を究明する会」の会員などが、文部科学省に事故の責任を認め謝罪するよう求める署名6万9千人分を提出しました。署名は、昨年提出分とあわせて目標の10万人を大きく越えています。

また、署名を提出する前に、東京・丸ノ内の文部科学省仮庁舎前で、支援を訴えるチラシを約30分間配布しました。これには、全国連盟の野口信彦副理事長、井芹昌二副理事長のほか、県連盟で支援を決定し「究明する会・関西支部」を結成している兵庫県連盟の阿部順一郎事務局長も、神戸から駆けつけて参加しました。

遺族は、署名を手渡すとき「1日も早く責任を認め、亡くなった2人と遺族に心から謝罪し、第三者による公正な調査を行って報告書を作り直して公表するよう」求めました。署名を受け取った生涯スポーツ課の課長補佐は「当方の考え方と違いがあるので、法廷で意見を述べる」という態度でした。

なお、3月10日には、富山地方裁判所で7回目の裁判がおこなわれましたが、口頭弁論に先立ち、「事故の真実を明らかにし、国民が納得できる裁判を求める」署名を同裁判所にも提出しました。この署名も10万人を越えました。この日の朝も、富山駅前でチラシを配布するなど、市民に支援を訴えました。文部科学省、裁判所への署名活動は今後も続けられます。

裁判での原告側主張の要点は、国が雪庇の大きさを例年10メートルであるとして事故当時の雪庇崩落を予見できなかったとしていることが誤りで、研修登山にも関わらず、そもそも漫然と雪庇に乗るようなことがなければ事故は起きなかったというものです。現地の雪庇については、20〜30メートルの雪庇は何度も確認されており、事故当時の雪庇が前例のない異常な雪庇であるという国の主張は成り立たないとしています。裁判は、今後争点整理が行われ、証人尋問は秋からの見通しです。次回公判は6月23日。

大日岳遭難訴訟は、2000年3月に文部省登山研修所主催の「大学山岳部リーダー冬山研修会」で発生した雪庇崩落事故で亡くなった2人の学生、内藤三恭司さん、溝上国秀さんの遺族が、国の誠意ある謝罪を求めて、事故から2年目の一昨年3月に提訴しました。文部科学省は、その前年の2月に「崩落の予見が不可能な雪庇だった」とする「事故報告書」を発表し、11月には「国には一切の責任はない」と遺族に伝えてきていました。

(「登山時報」日本勤労者山岳連盟 2004年5月号から)