活動紹介
渉外・環境部
第1回労山自然保護憲章制定委員会報告
2003年8月5日
自然保護憲章制定委員会
担当理事 後藤 功一
(1)会議実施報告
日時 2003年7月5日〜6日 午後1時開会
会場 渋谷区千駄ヶ谷・教弘会館
報告 「山岳自然保護憲章(仮称)討議促進のために−素案−」
I. 「労山の自然保護に関する問題提起」
野口 信彦 (全国連盟事務局長)
II. 「労山の自然保護運動における課題」
後藤 功一 (自然保護委員会副委員長)
次第 第1日(7月5日)
全国理事会挨拶  西本 武志 理事長
出席者自己紹介
理事会からの報告
野口信彦 事務局長・後藤 功一 自然保護委員会副委員長
討議 「労山の自然保護に関する問題提起」を中心に討議。
第2日(7月6日)
討議 「労山の自然保護運動における課題」を中心に討議。
出席者 自然保護憲章制定委員  14名。
坂口利貞(北海道)/ 菅沼賢治(奥羽)/ 藤井将喜(東北)/ 武笠真次(関東)/
福田陽一(北信越)/ 未定(東海)/ 村上悦郎、佐々木雅博(近畿)/
麻田育良(京都)/ 花村哲也(中国)/ 久米英俊(四国)/ 西村秋二(九州)/
小川潔、鈴木貫太、野口信彦(全国)
 ※東海は制定委員選出中のため今回は欠席。
全国連盟理事会  2名(西本武志、後藤功一)
自然保護委員会  2名(篠崎和江、島崎忠)
(2)理事長挨拶 (要旨)
山岳自然の危機的状況について認識と責任の所在を明確にする。
1) 登山者にも責任がある。(オーバーユース等)
2) 登山団体としての責任。(自然のすばらしさを明示)
3) 共生・協力関係のルールづくり。
国際的視野をもつことが重要。
他の山岳団体と共同でやることは、現実的には困難。
(3)会議討議報告
「労山の自然保護に関する問題提起」と「労山の自然保護運動における課題」を軸に労山が今、何故、自然保護憲章制定が必要なのかという討議を行なった。
第1回目の会合でもあり、各制定委員の自由な発言と各地方の独自性を反映するために「自己紹介と自然保護運動の活動状況」に2時間を費やした。
討議にあたって、「今回の会議は、何らかの結論を出すことを前提にしていない」「各制定委員は、今後3年間に渡って自然保護憲章制定づくりにたずさわって頂くことになる」「したがって、制定委員会での論議は、全く自由な発想と既存の考え方にとらわれず行なっていただきたい」との制定委員会の基本方針を提示。
以下、主要なテーマについての討議主旨を報告する。

1) 自然保護憲章のイメージについて
全国連盟の今回の30年の総括は評価できる。「どんなものを作るのか」「各会まで議論がおろせるのか」。
趣意書との関係。「自然を守る」はどうなるか。趣意書の立場を踏まえることが重要。
基本的な考え方を憲章本文に示し、理念を前文にのせる。
登山の自由を守る、登山の文化をはぐくむ。
前文は理念。本文は、労山の実践と今後を具体化した項目。
「心がまえ」。小さくて、いつもザックに。子どもが読んでも分かるもの。
憲章は、分かりやすく。別に、教育を目的にしたきちんとした解説読本を。
2) トイレ問題について
携帯トイレより、山小屋のトイレの整備を。
トイレの有料化については、当協議会では90%がOK.。ただ、原始境にトイレをつくるのはよいことなのか。
人が山に入らなければ、起きない。トイレを作ってしまえば、自然は改変。テイク・アウトが基本。しかし、山の地域性・文化・因習にかかわるので、それぞれによって解決策はことなる。
人間が管理しにくいところは携帯トイレ。
トイレのチップ制はモラルハザードを生む可能性がある。
3) オーバーユースにつて
オーバーユースの山と多種多様のその他の一般の山と、山によって対策を分ける。
自分が登ろうとしている山で何が出来るのか。
オーバーユースの元凶は何か。
尾瀬でのオーバーユースは、交通手段の変更によって生じた。
乗鞍・立山のようにつくってしまった自然はどうしようもない。
便利になりすぎている。地域の活性化になる登山をする。
集団登山も、リーダーの自然保護教育がきちんとされていれば、山によって対応を考えればよい。
観光道路がオーバーユースの原因。
4) 入山料・入山規制について
尾瀬での入山料を考えると、ツアー客は意識がないから、有効な規制とは何かという問題が生じるだけ。むしろ、入山料を取ることによりモラルハザードが起こるだろう。
国の政策の貧困をまず解決。国・自治体が対応した結果にもとづいて対応。
白山入山料の考え方は、受益者負担で規制はしない。
北海道庁では、誰が入山料を徴収するかで結論が出ていないという状況。
具体的にどういう場所でどういう内容の登山規制があるのか。
登山の自由を守ることが基本。
エコツーリズムなどと結び付けて、モラルハザードにならなければ、受益者負担には反対しない。
規制をして、金をとるのは逆だ。
5) その他
自然保護のための人材育成の明示
自然保護教育制度の確立
ローインパクト(自然にやさしい登山技術)の具体化
対政府交渉をきちんとやってほしい。
富士山の清掃を引き続きやってほしい。
(4)会議のまとめ
1) 出席した自然保護憲章制定委員は、本年7月31日までに全国理事会の報告と本会議の討議の内容についてレポートを提出する。内容は、特に問わない。各自自由に判断。字数も特に制限なし。
2) 当面、前項のレポートにもとづき、意見の重複を避けて本年10月の京都集会の公開パネルディスカッション「労山の自然保護憲章を考える」のパネラーを選出し、依頼する。
3) 自然保護憲章制定委員会の次期開催期日は、予算と定期総会の関係上、2004年2月以降の遅くない時期とする。その間は、Eメール等での協議を行なう。