登山時報 月 2002年
写真
剣山系「丸石」に溯る
日本三大秘境に数えられる徳島県南西部の「祖谷渓谷」。その祖谷川は西日本第2の高峰・剣山(1955メートル)から発しています。写真は昨夏、祖谷川支流の車谷川をつめて剣山系の丸石に登った時のワンショットです。ほとんど水がなくなり、メンバーが安心を実感しているところ----一帯は葉の緑が濃く、岩の苔も負けないくらい目に映えました。四国にはこうした自然美にあふれた静かな沢がたくさんあります。
(徳島・阿波あすなろ山の会
尾野益大)
CONTENTS
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富士山フォーラムの成功に向けて
西本武志・全国連盟理事長(フォーラム実行委員長)に聞く 4
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[談] 森田南海男(4) 過疎と森と水と 10
ハイキングワールド
日本の山はなんと魅力的なことか
東京・大田ハイキングクラブ石川友好 12
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北の山南の山春の山 14
奥美濃<銚子ケ峰、冠山、貝月山>
北海道<北大雪有明山、支笏湖白老岳>
広島<臥竜山、安芸冠山、倉橋島火山>
九州<雲仙九千部岳、由布岳、黒髪山>
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ベース・キャンプ 2002年クリーンハイク・アピール 全国連盟自然保護委員会 30
日高横断道路を斬る<札幌でシンポジウム>
北海道・百松山岳会 今野平支郎 29
避難小屋を訪ねて<南会津・三岩岳> 堀内一昭 9
オススメ山道具 ナイフ
笹原芳樹 28
気象情報を見る目使う目
野尻英一 36
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JWAF CLICK・31 本の紹介・35
登山と山をめぐる出来事・38 全国連盟の活動・38 会報えつらん室・40
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編集スタッフ/高橋友也・堀内一昭・吉村光代・三浦典子・
今泉菜穂子・田中裕之
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今月の人と山 登山界"発狂時代"にアルピニズム擁護論を展開した
織内信彦(1912〜)
「御国のために野山を歩け歩け!行軍登山で心身を鍛え、銃後の護りを固めよ!」「自由主義・個人主義思想に毒された、西欧渡りのアルピニズム断固排撃!」−日本登山界にはこんなスローガンを振りかざして、児戯にも等しい「行軍・戦技登山」に血道をあげた時期があった。つい5,60年前の話だ。
だが、そんな登山会"発狂時代"に、異を唱え、堂々とアルピニズム擁護論を展開した勇気ある人物が存在した。東京農大山岳部OBで、戦後、日本山岳会の副会長を務めた織内信彦氏である。
「登山は飽くまで登山。歩行々軍と混同することは出来ない。少しばかり外国の影響を受けた登山を、今更輸入物扱ひし自由主義呼ばわりするのは・・・ポルトガルから来た天扶羅を外国料理だとして排斥することと同じではないか」「山登り・・・の団体が、登山の本道を脱して他の事をやつてゐるのは」は「看板に偽りあり」である(『山小屋』41年12月号/「登山と時代」。
織内氏は、いまなおご健在で悠悠自適の生活を楽しんでおられる。(西本武志)