7月6日、7日に富士山で行われた富士山エコフォーラムは画期的な成功を収めた。日本の各種登山団体が山岳自然をなんとしても守ろう、そのためにはその象徴でもある富士山で開こうと企画し、成功させるために全力を尽くした。渦中にあって一定の役割を果たした労山の一員として、久しぶりに清々しい汗をかくことができた。成功させた取組みを総括し今後に生かせば、その影響力は限りなく広がるものと確信を持っている。
今回の企画のそもそもの発端は、言うまでもなく国連が制定した「国際山岳年」だった。ではその国際山岳年を思い立ったルーツは何かを考えてみよう。
それは今や、現実的な危機となっている地球温暖化現象などからくる地球規模の環境汚染、環境破壊がきわめて深刻なものとなっていることであった。
地球規模の環境汚染問題が最初に取り上げられたのは、1972年6月のストックホルムで開かれた国連人間環境会議で、これを契機に同年12月国連環境計画(UNEP)が設立された。それ以後、地球規模の環境破壊にたいする国際的な関心も急速にたかまり、相次いで国際会議が開かれてきた。各種会議の報告書や著書のなかでもっとも代表的なものが、ブルントラント報告(邦訳『地球の未来を守るために』福武書店、1987年)である。これは国連の「環境と開発に関する世界委員会」(WCED)が3年間にわたる討議をまとめたもので、人口の増加、経済の成長、自然への圧迫がこのまま進めば、21世紀の人類はきわめて困難な事態に直面することを指摘し、地球温暖化など地球規模の環境破壊を具体的に述べ、今後の課題として「持続可能な開発」が発展途上国だけでなく、先進国にとっても重要な課題であることを強調した。その点で、97年国連環境開発特別総会採択文書をまとめた『アジェンダ21実施計画(97)ーアジェンダ21の一層の実施のための計画』(「エネルギーと環境」編集部編、エネルギージャーナル社)は、まさに"21世紀に向けた、地球規模の決意の再確認"ともいえる絶好の書物と言える。
また、ワールドウォッチ研究所のレスター・R・ブラウンは毎年『地球白書』を発行して、地球規模の環境問題に警告を発している。それは、地球温暖化をはじめ、フロンガスによるオゾン層の破壊、酸性雨、熱帯雨林の破壊など個々の環境問題を取り上げている。著書や報告書は多数出されているが、最大の環境破壊である熱核戦争にまで言及しているものは、せいぜい前記ブルントラント報告のほか2、3にしか過ぎない。
わたしはここで、有事立法の危険性や印・パ紛争における限定核戦争の危機について述べる余裕はないが、少なくとも登山関係者が、懸命の努力を払って成功させた7月の富士山エコフォーラムは、その地球規模の環境破壊から日本の自然を守ろうとする「決意の再確認」の行動であったと言える。
山行中に目についたゴミを拾い、毎月、六甲の山々のゴミ拾いに取組み、し尿を担ぎ下ろす早池峰での取組みなど、全国の労山会員や自然を愛する人たちの活動が、地球と日本を守る"偉大なる行為のひとつ"であると、改めて確信を深めた次第である。
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