オススメ山道具 No.15
笹原 芳樹
ザック
私は、イチ山登り大好き人間ですが、読者のみなさんの中でも、私同様に最近の街角で、ちと腹の立つ光景を目にしていませんか。 それは、いかにも山登りとは無縁そうな若者が高価な有名ブランドのザックやDパックを実にだらしなく背負っていることです。安売りのザックならまだしも、すご〜く背負い心地のよい山岳仕様のザックを、わざわざすべてのストラップを緩めて背負いにくく使っているのだから理解不能です。ファッションなのかもしれませんが、あれで山登りしていたらバテてしまいます。とは言え、山の中でも、案外へんな背負い方をしている人も目につきます。そこで、きょうはザックのお話となりました。

カラダに合ったザックというのがある

各高度での標準気圧と気温20LくらいのDパックや小型のザックでも、背負い具合はモノによって変わりますが、30L以上の中・大型ザックでは、それが自分の体に合っているものかどうかで、かなり背負い心地が違ってきます。いろいろとストラップ類を調整して、自分の体に合っているかどうか必ず背負ってみましょう。
とくにヒップベルト("ウエスト"ベルトではありません)がしっかりしている近頃のタイプの場合、腰骨で5〜6割の荷重を受けることができ、とても楽なのですが、そのためには背中の長さ(業界ではバックレングスと言います)が合っているかどうかが重要です。中型以上のザックの購入で、背負ってみることもせずに「これがいい」なんて言うのは、問題外。靴と同じようにじっくりと試しながら選ぶべきです。




荷が少ないときはストラップで格好よく

体の大きな人が、小・中型のヒップベルト付ザックを選ぶ場合、背中の長さを合わせようとして、どうしても大きめのザックを購入しなければならないケースもでてきます。その場合、荷物が少ないと荷がザックの下の方に溜まってしまいます。そういうときはサイドストラップを適度に引いて、ザック自身を薄っぺらにすると背中寄りに重心がきて背負いやすくなります(こういうことに長けたザックもいろいろ出ています)。これは、小屋やキャンプ地から山頂にアタックするときにも、別のアタック・ザックがなくてもいいわけで、軽量化にもなります。


[ザックの背負い方]
(1) まず、ショルダーなど他のストラップを緩めて、ヒップベルトを腰骨の出っ張ったところで、ややきつめに締める。
(2) 次に、ショルダーベルトをソコソコに締める(ここで、背中の長さを見る)。
(3) 最後に、スタビライザーをザックとのバランスを考えて締める。ヒップベルトのストラップも引く。チェスト・ストラップはお好きに。

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