武庫川ダム建設反対
兵庫県連盟が署名目標5万人を達成
2000年4月から兵庫県連盟が組織をあげて取り組んできた「武庫川ダム建設反対署名」が、先月15日に、県連盟分で目標にしていた5万人を超えました。兵庫県連盟、武庫川を愛する会などが「武庫川円卓会議」をつくり、「とにかくダムを」という行政に対して、「(ダム予定地の)渓谷美を守ろう」「鮎の棲める武庫川を」と、ダムに頼らない総合治水を求めて多くの市民とともに世論喚起と政策活動に取り組み、これまで建設計画の実施を阻んでいます。

武庫川ダムは、兵庫県南東部を流れる武庫川(流域面積500平方キロ、延長65キロ)の下流3分の1の地点に計画されています。旧福智山線の廃線跡が並行して走る、その武田尾渓谷は、独特の景観と県下最大のサツキ自生地などの豊かな自然に恵まれ、四季を通じて近畿各地から多くのハイカーが訪れています。

そこに計画されているのが「穴開き式ダム」とも言われる、平常時には水を溜めない重畳式コンクリートダムで、県は「レクリエーション多目的ダム」と位置づけているというから驚きです。このダムは、そもそも1965年頃に「利水」を目的に計画されましたが、流域4市が別に水源を確保すると、87年に「治水ダム」に変身。92年には「レクリエーション多目的ダム」に目的を変えてしまいました。

兵庫県連盟では、当初「武庫川を愛する会」の署名簿を使って反対運動に取り組んでいましたが、2000年1月に県が突如として「ダム建設に伴う環境アセスメントの手続きに入る」と表明したことから、「運動実績のある兵庫労山の名前を掲げて運動しよう」という気運が一気に高まり、県連盟総会を経て取り組みを開始することになりました。

兵庫県連盟の署名運動は、(1)各加盟団体(会・クラブ)で取りまとめる(2)4つの会が1チームで取り組む街頭署名(3)全国各県の労山、団体・知人に呼びかける、という3つの方法で進められました。計画は2年間で5万人。2年たったときの総会では、目標の70%。熱心に取り組んでいる人からは叱咤され、会員の中には、真夏と真冬をのぞく毎週末、建設予定地で署名を集める人も現れました。

兵庫県連盟から全国の会員に

 5万人の内訳は、兵庫の各会で集めた署名31000人、街頭署名12500人、全国から寄せられた署名6500人ということです。5万人という一つの区切りに達し、兵庫県連盟の喜多伸介理事長から、全国の会員に次のような感謝の手紙が編集部に届いています(署名協力への謝辞のあとを一部抜粋)。
「・・・・・・この署名活動に寄せて近畿各府県の労山のみなさま、岡山県連盟の有志のみなさまが、ダム建設予定地を訪れ、つぶさに現地を見て激励していただきました。大いに元気づけられました。厚くお礼申し上げます。

兵庫労山としては、署名活動のほか、毎年6月の環境月間に行う武庫川渓谷清掃(4年連続で250〜300人参加)、4日間をかけての源流から河口までの武庫川観察会、京都桂川の霞堰の見学会など、催しや学習会を適宜に計画して会員の関心を高めています。

現在、ダム問題は仕切り直しとなって以後、流域での降雨量の再集計を終え、基本高水流量(これくらい水が増えると危険という値)の候補値が提示されています。県は4月から第3者機関である「武庫川委員会(仮称)」を設置し、武庫川の河川整備基本方針の答申を求めようとしており、その準備会議の人選を急いでいます。今年が文字通りの正念場です。今後ともみなさまのご支援をお願いいたします。」


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ダム予定地での清掃には多くの会員が参加した。

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