太田ハイキングクラブの初級実技講座も第3回。2002年は10月20日に行われた。しかし、当日は雨で、所期の講習内容はあきらめざるをえなかった。いつも天気に恵まれるとは限らないのも山歩きだ。誌面では、ほとんど同じ内容で行われた前年(2001年)の様子を紹介する。
初級実技講座も第3回を迎え、受講生同士も顔なじみになり、台之郷駐車場での挨拶もスムーズになってきた。前回の鈴ケ岳とは打って変わって、初冬の陽光が明るい山行日和である。受講者20人、スタッフ5人は、予定通り8時30分に赤城・大洞のビジターセンターに到着。
今回のテーマは、地形図に登山道がないルートを地形図とコンパスを頼りに、沢を詰めて目的地に到達することである。全般にわたる注意事項を交えた挨拶の後、山行計画書の作成、班編成とみんな手際よくこなしていく。
登山口の小沼湖畔に移動。小沼を半周して長七郎山に登る。ここでのテーマは、地形図の等高線の混み具合が実際にはどんなものか、自分の足で感じ取ることである。山頂は絶好の展望で、八ヶ岳、富士山、遠く北アルプスまで望むことができた。
湖畔に戻り、おとぎの森へ向う。ここから先は地形図には登山道がない。ダム記号を手がかりに現在地を推定する勉強をする。おとぎの森からは急降下していったん沢に下り、登れそうなルートを探して横引き尾根に登る。各班とも話し合いながら、下にいる者がトップに右・左を指示したりして、何とか尾根上に立つことができた。
初冬といえども、たっぷり水量のある銚子の伽藍を上から見学する。休憩の後、いよいよ沢の遡行のはじまりである。沢の南面は凍結していて、ツララも長く成長している。講師が説明する歩き方に、みんな真剣に耳を傾けている。沢を右、左と飛び石伝いに渡り返す。「浮石を確認しろ」声が飛ぶ。全員無事、地形図に崖記号のある地点に到着し昼食となる。
昼食後は目的地をめざしてコンパスをセットし、各班が協力してヤブこぎをしながら到達しなければならない。沢を巻く班、果敢に沢を越えて進む班。悪戦苦闘の末、なんとか各班とも目的地に到着。どの顔も達成感にあふれた笑顔。(2001年11月25日実施)
受講者の感想から
●ビジターセンターで地形図の確認や距離、歩行時間の推定方法を学びましたが、頭の中はパニック状態でした。講師の方々や隣の人に聞いたりして勉強しました。
コンパスで目的地方向を確定して小沼から出発。分岐に出たときや道探しで困ったときは、みんなで相談。それが間違っているときは講師の方が丁寧に教えてくれました。目的地に着いたときはホッとしました。地形図やコンパスの重要性を再認識しました。
●今回で受講も3回目となり、講座の雰囲気にもだいぶ慣れてきました。
小沼の駐車場から歩きだし、まず長七郎山へ。すばらしい展望を堪能したあと、細い踏跡をたどって粕川源流へ。地形図と地形から現在地を確認。そして、凍りはじめた沢を注意深く登り詰めると、こんどはコンパスを頼りに目的地までヤブ漕ぎ。登山道に出たときにはホッとしました。小枝が顔に当たって痛かったのですが、ヤブ漕ぎもよい勉強になりました。
●ビジターセンターで、山行計画書の作成、粕川源流コースの距離を測定してから、おとぎの森から軽井沢峠まで道なき道をコンパスを頼りの山行である。
天気に恵まれ、冬枯れた小沼はうっすら氷を載せて輝いている。3グループに分かれてはいるが、あまり距離をおかないでまとまった行動になる。長七郎山で360度の展望を楽しんでから、おとぎの谷の砂防ダムを数えながらおとぎの森へ。ここで、急な登り降りの際の注意点を聞く。
沢に急降下して横引き尾根へ直登。ほどなく「銚子の伽藍」に着く。そこから沢を登り詰めて行くと、幅10メートル、高さ5
メートルほどの崖に着いた。ここで昼食になる。ここからコンパスを320度に設定し、ヤブ漕ぎへ。約35分で、ふれあいの道に出る。帰路、コンパスを小沼にセット。「血の池」からの地蔵岳は小さく見える。ひと登りで小沼に着き、記念写真を撮った。
ビジターセンターに戻り、GPS、パソコンを使って、きょうの山行の様子を見せてもらってから、会計報告を作成する。
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