オススメ山道具 No.23
笹原 芳樹
ザックカバーとインナーザック
この季節は、日帰りだけでなく、1泊2日や2泊3日の山行中「すべて雨でした!」なんていうハズレのときもありますね。でも、雨とわかって出かけても、降られなかったりすれば「なんてラッキーなんだろう」と「選ばれた人」の気分になれるし、雨のち晴にでも当たれば、緑まばゆい季節、自然の躍動を肌で感じられる劇的な風景に出会えるかもしれません。天気予報が雨でも、よほどの悪天でない限り、出かけてみてはいかがでしょう。

ところで、雨具はゴアテックスなどの透湿性防水素材が当たり前になっていて、登山者自身はあまり濡れなくなったものの(ただし、ウエアーの着過ぎやオーバーペースなどで、汗びっしょりの人もよく見ますが……)、ザックカバーを使っていても、ザックの中を濡らしてしまっている人が、割りと多いようです。

ザックカバーと言えども、万能ではありません。

<その1>カバーの底に雨水が溜まりやすい。
防止策として、水抜き穴がある商品が多くなりました。それでも、大きめのザックカバーでは、どうしても水が溜まります。溜まりはじめたかナァと思ったら、歩きながらでも、カバー底部をときどき裏返してください。とくに、ザックを降ろすときは必ずやってください。

<その2>背中との間から水が入る。
雨具を着ていると、なかなか気づきません。傘をさすのが有効ですが、山岳地では場所が限られます。フードつきや、エリつきのザックカバーだと防げますし、さらに工夫されて"完全防水"に近い商品も考え出されています。しかし、重くなってしまい、複雑な造りですし、何より価格も高くなります。

そこで登場するのがインナーザックです。インナーパックなど、呼び方はいろいろですが、ザックにすっぽり入れる完全防水の袋です。

「そんなの、大きなビニール袋でいいじゃん」なんてお思いの方もいらっしゃるでしょうが、薄いビニール袋ではすぐに破れるし、厚めのビニール袋は思いの外かさばって重いものです。何より、穴が開いてしまえば、中の装備は余計濡れるし、大きなビニールゴミの発生ということになります。大きなインナーザックは、泳ぎ大好きな沢屋さんには、昔からの愛用者も多く、知られている商品です。雨女、雨男の諸氏、および天気予報で雨のときは、ぜひともご利用ください。

また、インナーザック使用の裏技としては、内側の防水コーティングの滑りが悪いので、インナーザックを裏返してザックに入れれば(まさに裏技)、モノの出し入れがラクになります。

基本的なことですが、絶対に濡らせない着替えやシュラフは、ザックカバーとインナーザックを使っていても、万一に備えてビニール袋に入れておいてください。

最後に、晴天で登山道もドロドロではないのに、全員がザックカバーとスパッツをしているのは、ちょっと……。

[写真キャプション]
フードつきカバーは赤頭巾ちゃんスタイル。フード部が透湿性素材のものは4800円ほど。そうでなければ3000円くらい。
インナーザックにもいくつかのサイズがあるが、ザックカバーとは違って、大は小を兼ねる。50Lで3000円弱。

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