普段着の山
凍った水滴と霧氷 丹沢・鍋割山稜
山のカメラマン  鈴木 澄雄
写真
積雪が少ない丹沢では、霧氷が冬の風物詩。霧氷に出会った回数が多いので、丹沢はサービス精神旺盛な山なのだ、と思う。
丹沢は太平洋岸に位置している温暖な山地だが、冬の冷え込みは結構厳しい。1980年頃までは北面の沢は「カッキーン」と音がしそうなほど見事に凍結していた。温暖化の影響で骨っぽい氷瀑は見られなくなってしまったが、冬枯れの樹木を彩る霧氷が登山者を迎えてくれる。
自然が豊かで冬でも登りやすい丹沢が、最近なんかおかしい。この写真を写した鍋割山稜の尾根道にも木道箇所が増え、丹沢の縦走路全体が木道になってしまいそうだ。湿原ではない丹沢の尾根道に木道は似合わないし、濡れれば滑る、腐れば抜ける、と危険なこともある。
登山者の踏圧から自然を守るため、という名目らしいが、丹沢の尾根に木道はいらないと思う。設置した木道は補修をし続けなければ、荒れ果てた姿を曝すことになる。補修工事を半永久的に続けるつもりなのだろうか。
丹沢は以前から大規模な林道や堰堤、山頂整備などの工事現場になっている。ロープウエイを架ければ一大レジャーランドの出来上がり、となりそうな雲行きである。